| 私は7月5日から10日まで「G8主要国首脳会議」いわゆるサミットのANN(テレビ朝日系列)取材団のカメラマンとして洞爺湖畔を中心に取材を展開した。
7月5日の午後、新千歳空港に降り立った私は、空港内の警備体制に驚いた。とにかく警察官だらけだ。警察官が着用する防刃チョッキには神奈川県警、香川県警などと書かれており他県から警察官が応援に来ていることが判った。米国同時多発テロ以降の日本では初めてのサミットということで厳戒態勢が布かれており、我々の機材もいつも以上に厳しくチェックされた。「カメラの電源を入れてください」と言われファインダーを覗かせることはよくあるが、テープを取り出してカメラ内部をまじまじと確認されたのは初めてだ。「中に刃物や武器が仕込まれているかもしれないので」と言われたときには驚きと怒りを通り越して唖然とした。 |  IMC(国際メディアセンター) |
ANNでは地元局であるHTB(北海道テレビ)とテレビ朝日が留寿都村のルスツリゾートにあるIMC(国際メディアセンター)内に取材本部を置き、全ての情報を集約し素材伝送も常時できるようになっている。我々取材班も毎朝本部に出向いて一日の取材行動を確認して現場に向かう。IMCには国内外約5600人ものメディア関係者が出入りするため、セキュリティも空港並みであった。入口では金属探知のゲートとX線による荷物検査が行われ、長蛇の列ができていた。ちなみにここIMCからサミット会場のザ・ウィンザーホテル洞爺までは専用バスに乗り45分の距離である。洞爺湖を一望できるポロモイ山の頂点で周囲の雑音を遮断して安全に議事を進行することをリトリート方式と言うらしい。確かに安全だし、議論には集中できると思うが、地元洞爺の人々はせっかく街ぐるみでサミットが来ると盛り上げたのになんだか味気ないと語っていたのが印象的だった。
今回の取材の中で一番大変だったのが、サミット反対派のデモ隊の取材だった。洞爺湖の会場での反対デモを敢行しようとするデモ隊と、絶対に洞爺湖周辺にデモ隊を近づけまいとする機動隊。洞爺湖から30キロ近くはなれた豊浦町のキャンプ場を拠点にしたデモ隊と、行く手を阻もうとする機動隊との口論と睨み合いは時間と場所を選ばず、キャンプ場の出口でデモ隊の動きを見守る事が多かった。そんな中、意外なタイミングで事は動いた。土砂降りの天候で「まさかこの天気でデモは無いだろう」と昼食を済ませキャンプ場に戻ると、外国人のデモ隊が洞爺湖方面に歩き出した。15分ほど歩いたところで待ち構える機動隊と衝突、お互いの怒号が飛び交う。続々と応援の機動隊員や警察官が駆けつけ、押し合いの状態になった。間に入って両方からの圧力に押されて撮影ポジション争いを熾烈に繰り広げるマスコミ。私の得意な現場だ。負けるはずがない。デモ隊、機動隊の掛け合いの雰囲気から話が収束方向で動いていることをいち早く察知し、未だ押し合うカメラマンの脇を抜け、諦めて帰途に着くデモ隊の様子を撮影した。日頃の鍛錬の成果が発揮でき嬉しかった。
 取材中の筆者 | | 今回の取材ではデモ隊、NGOの会見、中継など様々なジャンルの取材をさせて頂いた。サミット最終日にはウィンザーホテルに車で入る各国首脳を撮影する機会に恵まれ、撮り逃しが許されないという心地よい?緊張感も味わえた。目の前を猛スピードで通り過ぎる車列、防弾ガラスが張り巡らされた後部座席に乗る各国首脳を撮影するのは困難を極めたが中国の胡錦涛国家主席は着用のメガネがはっきりと識別できるまで撮影できた。これも日頃の成果かなと自己満足に浸った。
次回、日本でサミットが開催されるのは8年後。今回このタイミングで私がカメラマンとして関われたことは大変嬉しく思う。また、日頃の報道取材で培われた技術や取材勘が生かせたことは自信につながった。これを励みに今後も報道カメラマン道を極めるために邁進していきたいと思う。
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| 技術本部技術二部・神谷潤 |
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